宇宙暦140年・7月
Guardian・ブリッジ
ジル「総隊長、お帰りなさいませ」
エリオット「ただいま。各小隊長をブリーフィングルームに集合させてくれ」
ジル「了解です」
Guardian・ブリーフィングルーム
エリオット「まずは本作戦が無事に終了したことを祝いたい。
出撃したメンバーはブリーフィング終了後、休養すること」
エリオット「それと、現地民の協力が得られた。紹介しよう」
カナン「私はカナン。レジスタンスのリーダーを務めていた。
以後、お見知りおきを」
エリオット「これからSincerityに戻り、次の惑星に向かう。
何か質問等あるか?」
エリオット「なければ終わりとする」
Sincerity・HMCSデッキ
ジル「無事に戻って来れたわね」
アシュリー「はい、今は素直に喜びましょう」
ミシェル「そうですね……」
Sincerity・執務室
アリシア「簡単に信用してよかったのかな?」
エリオット「彼らが内通者だというのなら泳がせればいい。手間が省ける」
アリシア「もう……」
エリオット「どの道インベーダは潰すつもりだ。他星を侵略し、
蹂躙した事を後悔させてやる」
アリシア「エリィ……」
エリオット「わかるな、アル。指揮官の迷いは士気の低下に繋がる。
どれだけ非情であっても命令を下さなければならぬこともある」
アリシア「わかってる、つもりだけど……」
エリオット「それともその覚悟なしについてきたのか?」
アリシア「私……!」
エリオット「アル……お前は優しすぎる。やはりあの時
反対すべきだったのか……?」
ルチル「エリィ?アリシアちゃんが凄い勢いで走っていったけど……」
エリオット「姉さん、俺にはやっぱりわからないよ。夫として、
父親としてすべきことなんて……」
ルチル「エリィ……」
エリオット「やっぱり、俺みたいな男が所帯を持つべきじゃなかった
のかもしれない……」
ルチル「エリィ、正解なんてのはどこにもないのよ……」
エリオット「そうかな……?」
ルチル「あなたが家族に対するコミュニケーションが不器用なのは
私がよく知ってる。でも、それは私にも多少の責はあるわ……」
エリオット「姉さん……」
ルチル「エリィが戦えなくなっちゃったらみんな精神的支柱を失っちゃう。
みんながあなたを慕っているんだから。だから……
たまには泣いたっていいんだよ」
エリオット「泣く……?」
ルチル「そうよ」
エリオット「駄目だよ、姉さん……」
ルチル「いいから」
エリオット「泣くってことが、どういうことかわからないんだ……」
ルチル「え……?」
エリオット「頭ではわかっているつもりなんだ、けど」
ルチル「じゃあ、私があなたの代わりに涙を流してあげる。
もちろん根本的解決にはなってないけど、私が涙することでエリィも、
人間らしさを取り戻してくれたら……」
エリオット「人間らしさ……?」
ルチル「そうよ。あなたは争いもなく、人が人らしく生きられる世を
作ろうとしてるけど……代わりにあなたが
日に日に感情を失っていってる。それじゃ意味がないのよ……」
エリオット「……」
ルチル「あなたは機械じゃない、人間なのよ……。切られれば痛いし、
血も出るの……私たちと同じ、人間なのよ……」
エリオット「俺……」
ルチル「エリィ、私はあなたと幼い頃から暮らしてたわ……だから、
あなたの些細な心境の変化にも気付けるの……。
外宇宙に出る少し前くらいから、そうだった」
ルチル「感情と、言動が一致してないって……。昨日のブリーフィングでもそう、
作戦の成功を喜ぶって言ってたけど、あなたは……」
エリオット「……」
ルチル「あなたは自分を犠牲にしすぎてるのよ。そりゃ普段のあなたなら
『俺一人の命で』、って言うんでしょうけど……
エリィのいない世界なんて……」
エリオット「ごめん、姉さん……」
ルチル「謝る相手が違うでしょ?さ、アリシアちゃんに謝ってきなさい」
エリオット「ああ……」
ルチル「願わくば、エリィも一人の人間らしく、幸せを感じられますように……」
Sincerity・士官室
エリオット「アル……?」
アリシア「……」
エリオット「ごめん、アル……俺、アルの気持ちも考えないで……」
アリシア「私こそ、ごめん……。エリィの方がもっとつらいはずなのに……」
エリオット「……」
アリシア「実はね、さっきの、ルチルさんとの話、聞いてたの。私、ずっと、
エリィと、一緒にいたのに、エリィの変化に気付けなかった……」
エリオット「あ……」
アリシア「私だけが、つらいんじゃないのに。私、自分のことばっかで……」
エリオット「アル……」
アリシア「でも、エリィが自分を失っちゃったら……私、悲しいよ……」
エリオット「……」
アリシア「エリィ、泣いてるの……?」
エリオット「え……?」
アリシア「あは、エリィ……泣けるんじゃない……」
エリオット「俺が、泣いてる……?」
アリシア「大丈夫だよ、エリィ……あなたはもう、一人じゃないんだから……」